私たちJSRGは、ゲーミング・ギャンブリングに関連した問題を抱える人たちの問題解決や回復支援に携わる職種(福祉・医療の専門職者だけではなく、予防に関わる教育関係者や個人・団体、債務問題など法的側面からこの問題に関わる法律関係者、問題当事者の支援に携わる方々など「援助に必要な社会資源として役割を担っている方」)を「援助職者」と呼びます。

 

 Problem Gambling(問題ギャンブリング)への対策は、ゲーミング産業の拡大によって世界ではこの20年間に大きな進歩を遂げています。2013年に改定されたアメリカ精神医学会の統計・診断基準DSM-5では、いわゆる「依存症(Dependence)」という病名がなくなり、一方で「ギャンブリング障害(Gambling Disorder)」という診断分類項目が新たに誕生しました。この背景には、産学が協同しゲーミング産業の負の影響を予防・削減することを目標に数多くの調査・研究、対策の探索、評価に取り組み、科学的データを積み重ね、ギャンブリング・ゲーミング問題に関する「事実」を明らかにしてきた成果が大きく影響しています。

 

 問題ギャンブリングやギャンブリング障害は、アルコールや薬物などの物質使用障害(SUD)、従来の「依存症(Dependence)」と同じように見なす考え方ではとらえることができないことが明らかになっています。

 

 予防への取り組みが強化されてきた流れの中で、医療問題を超えて地域の保健福祉、健康問題として幅広い視点で介入が行われています。世界の問題ギャンブリングのケアプログラムの多くが心理学やソーシャルワークの研究者によって開発され、提供されているようになっています。

 

 問題ギャンブリングは、地域社会の中で個人の心身の健康などの医療領域、対人関係問題、家族内の不和や暴力、借金や破産など家計・財政問題、生活困窮からの犯罪や破産などの司法問題、生活保護等の福祉に関わる問題など、日常生活上の多岐に渡る領域で姿を変え、融合しながら表面化していくような特徴を持っています。

 

 この変幻し、密かに潜伏する問題ギャンブリングを、どのように早期発見し、またその問題を評価し、どのような介入やケアの戦略を立てることが必要なのか、そのためにはどのような知識や考え方が必要なのか、有効な介入にはどのようなものがあるのか、その効果による予後の変化はどのようなものなのか、世界では多様な取り組みの中で多くの知見が現在も集積され続けています。

 

 問題ギャンブリングに関しての知見の理解には、それぞれに、従来の依存症(Dependence)の治療から得られた経験的知識や考え方にはない、むしろ全く異なるコンセプトの理解が必要です。そうでなければ「世界の標準」の扉を開けることができません。この援助者の戸惑いや葛藤を超えて現在に至った世界の援助者の知見をJSRGは基礎的な情報から最新の情報まで幅広く援助職者の皆様に提供していく予定です。

 

 併せて、問題ギャンブリングやギャンブリング障害のケアに必要な基礎情報、論文や書籍の紹介、支援に関する情報、評価・診断ツール、事例紹介などを提供していく予定です。これらを活用して問題を抱え支援を必要とする地域の人たちの対策に取り組んでいただくことを願っています。RCPGは研修教育プログラムの提供などを通して人材育成の支援も行う予定です。